実は名産だった!<br>島根の「鴨」復活のみち
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2021/12/30 Thu

実は名産だった!
島根の「鴨」復活のみち

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今回取材に行ったのは「有限会社カナール」さんです。
島根県松江市で、鴨専門店を行うカナールさんは島根県の鴨をブランドとして定着させる活動をはじめ独自の取り組みをしておられます。

インタビューさせていただく中村です。よろしくお願いします!

はい、よろしくお願いします。

鴨専門店カナール代表:高木さん。鴨への情熱がすごい方でした。料理もお得意だということで鴨の食べ方など気さくにお話してくださいました!

目次

1.鴨肉とは

初めから失礼ですが、あまり鴨肉に触れる機会がなくて…

そうですね。鴨肉は高級食材なので市場に出回る数は一般的な肉に比べると少ないですよ。

そういえば鴨はジビエのイメージがあります。
主に出回る鴨は野生のものが多いのですか?

もちろん狩猟でとる鴨もありますよ。
そのような野生の鴨はマガモといいます。昔はそちらの方がよく食べられていたみたいですよ。

では今は飼育が主流なんですか?

そうですね。やはり鴨肉は冬のイメージが強いので、冬に出荷量が多くなります。
鶏ほど取り扱う業者は多くないのであまり見たことがない人も多いかもしれませんね。

やはり希少な肉ということですね。
他の肉に比べて鴨肉の特徴的な部分はどんな点なんですか?

いろいろありますけど、そうですね...
鴨は脂がすごくヘルシーなところが良いところです。

なるほど!

動物の油は飽和脂肪酸という脂質の含有量が多いのですが、鴨肉は脂の7割が不飽和脂肪酸なんですね。不飽和脂肪酸は植物や魚の油脂に多く含まれていて、体に優しい脂です。

確かに不飽和脂肪酸は摂取した方がいいって聞きます!
血流をサラサラにしたりするような働きがあるものの、肉メインの食事では補給しにくいらしいですね!

▶不飽和脂肪酸については、こちらも参考にしてみて下さい。
厚生労働省HP:
不飽和脂肪酸 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

健康にいいだけではないですよ。不飽和脂肪酸は融点が低いので口どけがすごくいいです。ただ、調理前に溶けないように注意が必要です。

他の動物とは全然違う脂だということですね。是非食べてみたいです。
ですが、鴨はクセがあると聞くのですが...

初心者の方におススメなのは合鴨(鴨とアヒルの交雑種)ですね。
初めての方でもクセがなく食べやすいと思います。
逆に本鴨(合鴨とは違い純粋な鴨)は鴨の味が強く出ているので、しっかり鴨の味を楽しみたい方におすすめです。

2.実は豊かだった!鴨を食べる文化

「宍道湖七珍料理」って知っていますか?

「宍道湖七珍」は聞いたことがあります。

「宍道湖七珍料理」は、昭和初期に作られた宍道湖周辺でとれる名産で作る7つの珍しい料理のことですよ。

そんなものがあるんですね!
「宍道湖七珍」は島根県東部の人は一度は聞いたことがあると思います。
スズキやシジミなど汽水湖独特の食材の事ですね。その中でも特に珍しい七種は「宍道湖七珍」と称されています。

▶汽水湖とは、海水と淡水が混じった湖の事です。島根県の宍道湖と中海は汽水湖で独特の生態系があります。

実は食材だけではなくて、料理の方もあるんですよ。
これが昭和初期によく食べられていた鴨料理で、「鴨の貝焼き」といいます。

鴨の貝焼き

おおー、すごいです!
これで一人前ということはかなり豪華ですね。
シンプルでそれぞれの食材の味が引き立つような料理でしょうか。

これ、実は隠岐の島のアワビの殻なんですよ。
お祝いの席などで食べられていたらしいんですね。
これをつまみながら夜な夜な酒を飲みかわすという食文化がここ周辺にあったんです。

今でいう焼肉みたいなものだと思いますが、雰囲気が全然違いそうです。

そうですね。そんないい文化をなくすわけにはいかないと思います。
さっきも言いましたが、鴨肉は日本人の体にも合っているんです。これは自論でもあるんですが、4足歩行の動物の肉より、2足歩行の動物の肉の方が日本人の体質に合っていると思うんです。

どういうことですか?

牛や豚といった4足歩行の動物が食用として食べられ始めたのは明治に入ってからです。それまで肉は頻繁に食べられるものではなかったんです。

確かにそうですね。文明開化以降肉食の文化が日本にも普及し始めたイメージがあります。

ただ、鶏や鴨は昔からポピュラーな肉として食べられてきました。

そうなんですか!
では、なるべく鶏や鴨を食べた方が体にいいということですね!

牛肉豚肉はおいしいので、僕も食べるんですけどね。
変に、食べたいものを我慢するのも良くないと思いますよ(笑)

健康を意識しすぎるのもストレスになりますもんね...
何事もほどほどにですね!

3.島根県産鴨のブランド化へ

高木さんが鴨に出会ったきっかけは何だったんですか?

私はもともとこの地域出身なんですよ。

あ、そうなんですね!

もともと実家が明治44年からある料亭だったんです。そのころから鴨の取り扱いはしていました。
もう料亭は廃業したのですが、鴨の取り扱いはずっと続けています。
実は鴨鍋の通販を始めたのはうちが日本で初めてなんですよ。

そうなんですか!?

やはりそういう形態をとらないと全国の人には届かないですよね。
逆に通販なら田舎からでも勝負できると思います。
そういった全国に島根県の鴨を知ってもらう一環で、鴨のブランド化をしています。牛や豚のブランド化は全国にいっぱいありますよね。

そうですね。

ただ、鴨はブランド化している地域がまだないんですよ。

確かに鴨はあまり聞いたことがないかもしれません。

ですのでブランド化する鴨は、他の地域の鴨に負けないおいしさを出すためにこだわりを追求しています。

なるほど!たとえばどのようなこだわりをしていらっしゃるのですか?

地元とのコラボでより良い品質の鴨をを育てていますよ。
例えば、えごまを食べて育てた「えごま鴨」があります。

えごまですか。そういえば先日川本町のえごま栽培している会社に取材してきました。

お。オーサンファームさんかな?

そうです。ご存知なんですか?

それこそオーサンさんのえごまを使わせてもらっていますよ。
えごまに含まれる油と鴨の身に含まれる脂は同質のもので、鴨の油の品質が大幅に良くなったんです。

地元同士のコラボというわけですね。
僕も島根県民なので○○といえば島根だよね、という名産が増えればうれしいです。

そうですね。ただ、ブランド化は方法の一つです。
カナールの一番の強みはレシピや食材をはじめ、美味しい鴨をトータルでお客様に提供することです。

トータルで提供すること、ですか?

現在では簡単調理が主流ですがカナールはその逆です。
レシピを細かくお伝えし、こだわって調理していただくことでレストランよりもおいしい鴨料理を食べていただけるような商品にしています。

鴨肉のみを提供するわけではなく、鴨肉の周りにあるすべてをベストの状態で
お客様に届けるということですね...
それでは最後に今後の目標やビジョンがあれば教えてください。

私は「鴨の概念を変える」ということを大事にしています。
鴨はクセがあって食べにくいというイメージを抱かれがちですが、実はそんなことはありません。
鴨だけでなく、食育含めて皆さんにお伝えできるような事業ができればと思います。

島根県民として、全国で知られるような名産が生まれるのはとてもうれしいことです。今日はありがとうございました。

4.まとめ

 新たな島根県の名産を作るという大きな仕事をされているなと感じました。鴨という普段触れることのない分野について詳しく教えてもらえたのもとても楽しかったです。またそれ以上に地元民の私でも知らない文化があることに気づかされました。
 今まではこれまでにない新しい取り組みにばかり注目してきました。しかし、温故知新という言葉がある通りもともとあったいい文化を受け継いでよりよくしていくということも大切かもしれません。それができれば地元がもっと盛り上がるのかもしれないと今回の取材を通して考えました。

鴨肉に興味がある方はこちらをチェックしてください!
HP→ 鴨鍋・鴨料理のお取り寄せ・通販|鴨鍋のカナール (kamonabe.jp)

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取材先

取材先画像

有限会社カナール

〒699-1115 島根県雲南市加茂町岩倉1000-20

TEL:0120-49-7818(受付10:00-18:00(土日祝休み))

FAX:0854-49-8049

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