皆さんは日本酒、好きですか?
僕は大好きです。今回取材するのは島根県安来市にある酒蔵、「吉田酒造」さんです。
日本酒について吉田酒造の社長、吉田さんに聞いていこうと思います。
目次
1.初心者向け!日本酒の基礎知識
今日はいろいろ教えていただこうと思います!よろしくお願いします。
何でも聞いてください(笑)
僕は最近日本酒を飲み始めたのですが、日本酒ってどうやって飲めばいいかわからなくて…。大雑把な質問になるのですが日本酒ってどんな感じで飲むのがいいんですか?
うーんそうですね…。基本的に言われているのはお酒のタイプとお料理のタイプが似たようなものが合うと言われています。例えば香りがあるようなお酒だったら香りがふわっと広がるようなお料理がいいとか、甘めのお酒であれば甘めの料理がいいみたいですよ。
そうなんですか!結構分かりやすいですね。
ワインってばっちり合う合わないがあるんですね。でも日本酒ってなんとなく寄り添ってくれる感じなんです。なので白か黒かそんなはっきりはしていなくて、懐が深くて柔軟な感じですね。
ワインのお話が出ましたが、日本酒も熟成されたものほど高級なんですか?
日本酒も熟成という概念がありますよ。熟成酒はどちらかというと穀物系の軽い香りがついて複雑な味が特徴です。これはどちらかというと燗酒で通好みのイメージがりますね。
ということは、若い酒だと冷酒なんですね?
そうですね。新しいお酒は香りが華やかで、わかりやすいので若い方でも飲みやすいと思います。
そういえば、初歩的な質問になるのですが、大吟醸か純米吟醸などそれぞれの種類ってどう違うんですか?買うときにいつも迷うんです。
大雑把に言うとお米の磨きなんです。お米の削り度合いがまず区別のポイントですね。
それに加えて、醸造アルコールを添加しているかどうかで二分されます。
最近純米の精米歩合だけが撤廃されました。
以前は30%ほど削るのが純米酒の基準でしたが、10%しか精米しないお酒が発売されるなどした為、混乱を避けることを理由に変更されました。
おおー、やっと理解できました。種類がいろいろあってなかなか決められなかったのですがこれでもう大丈夫そうです!
ちなみにお米を削ることのメリットってなんですか?
僕らが食べておいしい成分ってお米の周りにあるんですよ。でもうまみ成分のあるお米がお酒に入ると逆に雑味になってしまうんですね。なので複雑な味わいの純米酒であれば周りを削るのは少しでいいかのですが、きれいな味にしたい大吟醸はガンガン削るんです。
2.吉田酒造のお酒
日本酒のことがだいぶわかってきたような気がします。
僕は安来生まれなので、初めて飲んだお酒も吉田酒造さんの「月山」なんです。日本酒って酒蔵さんごとに個性があると思うのですが、吉田酒造さんの作るお酒の特徴って何ですか?
それを説明するためにまず、原料のこだわりをお話しします。
中村さんは硬水って知ってますよね?
はい!ミネラルが多い水のことです。
昔は硬水でしかお酒造りができないって言われていたんです。
硬水ってミネラルが豊富なので酵母がそれをもとに増えてくれます。ですが軟水は当然ミネラル分が少ないのでお米の成分でしか増えず下手に作るとすぐ腐るんです。
日本酒はすごく繊細と聞きますが、水の良し悪しがそんなに影響するんですね。
そうですね。吉田酒造では仕込みに「超軟水」という水を使っています。
私がいろんな酒蔵さんに話を聞いていても、うちよりも柔らかい水を使っている蔵を聞いたことがないくらいミネラル分がほとんど含まれていません。
お酒を買うときにあまり意識してこなかったのですが、日本酒全体としてはやはり硬水で造ったお酒の方が多いんですか?
昔は硬水のお酒がバンバン出ていて市場を席巻していたんです。
業界全体としては割合が少ない軟水ですが、良さもあります。非常に作りづらいんですが、仕上がった瞬間から柔らかいお酒が出てくるんですよ。
それは味が柔らかいということですか?
はい。逆に新酒では飲みづらいのが硬水のお酒なんです。
ほかの酒蔵さんでは、数か月から数年寝かせてからお店に出すのが一般的ですが、うちはすぐ飲めるんです。吉田酒造では冬に造った酒をその1年間で売り切る「フレッシュローテーション」という売り方をとっています。
吉田酒造さんのお酒の特徴は「超軟水」を使っていることと「超軟水」を使っているからこそできる、仕込みたての新酒が飲めることですね!味としてはどんな感じなんですか?
香りの華やかさですね。それと、うちはやっぱり水の透明感なんです。水が透明だということを表現したいのであんまりこてこていろんな味わいをつけたくないんです。ですから、そぎ落としてきれいな味わいを目指しています。
3.若者向けの日本酒を目指す
ちなみに、初めて日本酒を飲むような人はどんなお酒がいいんでしょうか?
やっぱり好みかなとは思いますけどねー。
実はうちは若い方の入門となるような日本酒を目指しているんですよ。
そうなんですか!僕的にはすごくうれしいです(笑)
日本酒初心者だと、どんな味が自分好みかということ言葉にしづらい部分があると思いますが…
私が思っているのはきれいなお酒ですね。若い人が求めるお酒というのは「飲みやすい」、「きれいな」お酒で口に含んだ瞬間おいしいとわかるような、大胆に言えば「わかりやすい」お酒なんです。
さっき教えていただいたことで言えば新酒がそうですよね。まさに吉田酒造さんのお酒です。
通好みの味とは真逆の味ですが、若者向けにお酒を造ろうと思ったきっかけはあるんですか?
みんなでつう向けの熟成酒等なんかを造ると日本酒を既に飲んでいる層を取り合う形になるんですよね。今日本酒の魅力を伝えておいしいと飲んでもらって、じゃあもっと深いところに行ってみたいよねという人たちを作っていかないと今後の日本酒業界は危ういと思います。
だからうちは新たな日本酒の飲み手を増やしていくのがうちの役割だと思っています。
なるほど!
味を追求されているということですが、味を変えるのは酒蔵的に大丈夫なのですか?「昔からの味を守る!」みたいなイメージがありますが…。
お酒って常に進化をしているんです。なので酒蔵が300年生き残ってきた理由って300年前の酒をずっと造り続けてきたかといえばノーなんですよ。ちゃんと時代に沿ったような酒を造り続けてきた酒蔵が生き残っているんですね。だから昔からの味を頑なに守っていますというのは絶対嘘です。
時代に合わせて味を変化させるからこそ生き残っているんですね。
実態はイメージと真逆だったということですね。
昔は味の変化という意味では結構ゆっくりだったんです。蔵の味わいというのもそんなにそんなに急いでフィットさせていかなくてもよかったんですけど最近の流れはものすごく早いんです。それに味わいをフィットさせていかないと蔵のお酒は売れなくなっていくんです。その早い流れについていけない蔵は淘汰されつつあると思いますよ。
今後、吉田酒造さんとしてこうしていきたいみたいな理想はありますか?
革新を積み重ねていってつながって、やっと伝統になるんだと思うんです。日本酒が生き残ってきた過程を考えるとその年々に合うお酒を出した蔵が伝統を紡いできているので、そういう意味で味が変わることに対しても前向きです。
日本酒の基礎知識から酒蔵さんの心意気など、プロの方から聞けたのは貴重な体験でした。地酒を楽しく飲むことは、地元を楽しむことでもあると思うのでこれからも島根のお酒をいろいろ飲んでみたいと思います。今日はありがとうございました!
吉田酒造さんの詳しい情報はこちらで!
オンラインショップもあるのでチェックしてみてください。
月山(がっさん)の蔵元/吉田酒造株式会社 (e-gassan.co.jp)
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