今回も取材にいってきました!中村です。
突然ですが、地元ってすごい人意外と多くないですか?
僕は山陰のいろいろな場所に行って取材をしている中で
そんなことを最近は感じています。
そのなかでも今回取材させていただいた熱血百姓こと福岡さんは、個人的にトップレベルのすごさでした。
それが伝わる記事になっていればいいなと思います。
目次
熱血百姓は何を作っているのか?
ということでやってきました!福岡さんの運営する百市ラボです。
田んぼ道のなかに突然現れたゆうに三階建てほどもある建物、なんだと思いますか?
実は福岡さんのつくるアレを干す施設らしいです。
というか実はここ、僕の実家に帰る道の途中にあるんですよね。まさかアレのための建物とは...小さいころからの謎がようやく解けました。
今日は取材よろしくお願いします。
はい、よろしく!
わ!名刺の肩書が「熱血百姓」になってますね。失礼ですが、何の農家なんですか?
柿を作っています。うちのHPはもう見た?
すみません!まだ見てないです。
うちの農園は「百果物語」というスローガンを掲げていて、柿の木から100の商品を作り出すことをにチャレンジしてるんだよ。
いま何個くらい達成できたんですか?
まあ全部が継続的に売れる商品になるわけではないけどね(笑)それくらい柿を工夫してたくさんのものを生み出すことができればそれは物語になるだろうな...という意味だね。
なるほどなるほど。この図みたいに柿の木一本から様々な商品を作り出していこうということですね。
そうそう。そのなかでも主力商品は干し柿だね。百果物語の基盤になっているし、売り上げも一番あるよ。
どうぞ食べてみて。
それではさっそく...ん!甘いですね。でも甘いだけじゃなくて柿の風味もしっかり残っている気がします。
その干し柿一個、何円だと思う(笑)?
え...500円くらいですか?
1700円(笑)
うおっ1700円食べちゃった。ということはすごい高級品ですよね。
そうだよ。出荷の半分は百貨店の千疋屋さんだね。老舗の高級果物専門店の「千疋屋総本店」さん。もう18年くらいずっと卸させてもらってるよ。
クオリティは抜群かつ毎年揺らぎなく品質を保っているんですね。ほかの干し柿との違いはなんですか?
私が開発した独自の製法があるんだよ。干し柿の製法って伝統的なものが一般的だよね。でも私は、私一代で開発した製法で干し柿を作ってる。
えええ!さっきから驚きっぱなしです。具体的にはどんな方法ですか?
ここら辺の地域では柿をつるして風で乾かすのが一般的。でも私は藁を熟させるのに使ってる。おっと、これ以上は企業秘密だね。
うわ~。秘密なんですか!?(超高級品の秘密知りたい!)
これは教えられないね(笑)
福岡さんの農業の命ですもんね。独自製法で干し柿を作ることのメリットって何ですか?
メリットは主に二つあって、1つ目は糖度がすごく高くなること。2つ目は食感が普通の干し柿とは全然かわることだよ。
食感ですか?
そう。干し柿って皮が硬くなりがちなんだよね。悪いものだと内側に水分が残っていることもある。その点、うちの干し柿はどの部分を食べても柔らかいんだよ。
なるほど!それでは他の商品についても教えてください。
そうだね...。これ飲んでみなさい。
ありがとうございます。(なんだこれ?)
どう?(笑)
甘いです。柿の酸味とほんのり甘酒のような柔らかい甘みがあります。これなんですか?
柿酢の原料だよ。
失礼ですがあんまり聞いたことがないです。リンゴ酢みたいなもんですか?
そのまんまだけど、柿から作った酢だよ。栄養価がすごく高いんだよね。そのなかでもカリウム含有量が高くて、健康なイメージのある黒酢の6倍あるんだよ。・・・飲む?
すっぱ!(原液をそのまま飲んだ)
酢は酢だからね(笑)私は酢醤油にするけどね。炭酸やお湯でわってもおいしく飲めるよ。
原液で飲むものではないんですね(泣)でもたしかに米酢と比べてフルーティーさがあった気がします。
柿とワイン酵母を混ぜて柿ワインを作るんだよ。その柿ワインをさらに醸造させると柿酢になる。さっき飲んでもらったのは柿ワインになる前のアルコール度数が0,2%くらいしかないもの。
柿ワイン!おもしろいです。
他にはね…
※他にもたくさんの商品の開発秘話や舞台裏を教えていただきました。文章量の都合上写真だけの紹介にします!ごちそうさまでした!
福岡さんの農業人生
ご自分でいろいろな商品を開発に挑戦している舞台裏が聞けてとても楽しかったです。これだけたくさんの商品開発を行のは正直大変ではないですか?
実は私、60歳から農家を始めたんだよ。
え!そうなんですか!今おいくつですか?
今年78歳。
農家を始めたのが18年前ですか。あれ?農家を初めてすぐ千疋屋さんと取引を始めてませんか?
そうなんだよ。
1年目でトップレベルの技能が??
私の経歴をざっとお話ししようかな。実は60歳までサラリーマンだったんだよね。
農業と無関係!
60歳で定年退職したのを期に農家に転身したというわけ。ただ、もちろん60歳になるまでに準備はしていたんだよ。40歳以降から干し柿を作るべくお金をためたり、干し柿の独自製法を開発したりしていたの。平日はサラリーマン、土日は農業をするという生活だったね。
とても僕にはそんな生活できません(笑)柿農家になりたいと思われたのはなぜですか?
もちろん、休みなしで働いていたわけじゃなくて遊びもしてたよ(笑) 60歳すぎてからどう過ごすか?ということを考えた時に干し柿を作ろうと思ったんだ。
うーん、定年退職後の過ごし方ですか…
サラリーマン時代はすごく体力があったんだよ(笑)仕事前に早朝草野球したり、職場までの十数キロを走って通勤したり...40歳のとき1500mの記録を測ったら5分切ってたね!
(絶句)
そのころから何かに挑戦したり、教科書にないことをしたい!という気持ちは強かったんだ。
どうせ干し柿農家になるならこれまでの干し方を真似するのではなく、新しいやり方を作り出してやろうと...。
その熱意で開発してしまうんですから本当にすごいです。
それでもかなり苦労したよ。うしろ指をさされることもあったしね。でも新しい製法が完成したときはやっぱりうれしかったね。
ちょっと脇道にそれてしまいますが、ちゃんと技術やノウハウや資金を構築したうえで本格的に農家に転身したということですよね。
いくら挑戦するといっても変なリスクを負う必要はないからね。
深い…
干し柿の独自製法そのものは、定年退職する2.3年ほど前には完成してたんだよね。その時に千疋屋のバイヤーさんに食べてもらったところ、高い評価をもらって取引することが決まったんだ。ただサラリーマンの身で副業はできないので、退職するまで出荷は待ってもらってたけどね。ばれたら叱られるから(笑)
熱血百姓の哲学
それだけ千疋屋さんに評価されているのはなぜだと思いますか?
これはバイヤーさんから聞いたんだけどね、この干し柿は私しか作ることができないから、というのは大きいみたい。
といいますと?
これだけ甘く、食感もいい。しかも製法で作れるのはうちだけだから。これはほかの物にも当てはまると思うよ。農業で作物を作って売れるものにしようと思ったら少なくてもいいから自分にしか作れないものを創るべきだね。
自分にしか作れないもの、ですか。
そのためには「もんだ節」にならないことが大事だよ。
「もんだ節」ですか?聞いたことないです。
私が作ったんだよ(笑)「干し柿の作り方はこういうもんだ」「農家はこういうもんだ」っていうのはね、はなから「こういうもん」決めつけてるんだよ。そういう常識にしばられたら何もできなくなるよっていう意味だね。
確かに、それ以上深く考えないときに「そういうもんだ」って使うかもしれない...
まあへんな言葉を作るのが好きなんだよ(笑)
「へをこけ」っていうのもあってね、
・へばるな
・おごるな
・こわがるな
・結果はついてくる の頭文字をとった言葉だよ。
なぜこの4つの言葉なんですか?
何か新しいことや自分のやりたいことを貫くとき大事にしなければならないことだよ。まずはへばらずに続けなさい。それから、人から褒められても増長しないこと。ただ自分のするべきことをしていくだけだからね。
なるほど!僕はすぐおごってしまうので注意しようと思います。いい意味でも悪い意味でも他人の目は気にしない方がいいってことですね。
教科書にないことをやってやろうっていうんだから、怖がらないこと。結局教科書だってこれまでの人間の努力の積み重ねなんだからそれが全部正しいという保証はないし、続きだってあるよ。そうやって自分で何かやってればあとは結果がついてくるよ。
頑張ればいい結果がでるってことですね!
いやそんなに甘くないよ。結果がついてくるっていうのは自分の行いはすべて結果に反映されるってこと。とりあえず深く考えずになんでもやってみればいいと思うけどね。
でもその結果から何も学ばないやつは成長しないよ。
確かにそうですよね。今の僕は真逆だと思います。始めるときはあれこれ考えてしまってスタートが遅くなってしまいます。結果が出れば「やっと終わった!」という風に放置してしまうことも多いです。そもそもそのように行動に移そうと思える、福岡さんの原動力は何ですか?
挑戦したい、自分で新しいものを作りたいってことだね。現状に満足しないっていうのはチャレンジする原動力に大事なものかもしれないよ。
これまでお話を聞いてきて、自分がこうありたいと思える姿が思い描けることも行動力の秘訣なのかなと思いました!最後に今後、福岡さんがやりたいと思われることは何でしょうか?
農家になってから「柿が赤くなれば医者が青くなる」っていう諺に納得したよ。栄養成分を検査しても柿はバケモノなんだ。だから私は柿以外の作物に手を出す気はないよ。柿に関連すること全てをこれからもやっていこうと思うよ。
ありがとうございました!
まとめ
熱血百姓と名乗るだけあって、熱量はすごかったです。やはり日頃から挑戦、行動されて
いる大人の言葉とオーラは重みが違います。
僕は大学で農業を学んでいるということもあってインタビューがとても楽しかったので
すが、何か教えてほしいことがあったら聞いていいよと電話番号まで教えていただきまし
た!
1から既存のやり方をこえる独自製法を生み出す熱意、感じていただけたでしょうか?
取材を終えて、僕も何か新しいことにチャレンジしたくなりました!くじけそうなときは
福岡さんの言葉を思い出します!
福岡さんの取り組みをもっと知りたい方はこちらをcheck!
百市HP しまね西条柿の百果物語|百市(ひゃくいち)-まる福農園- (hyakuichi.net)
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HP:しまね西条柿の百果物語|百市(ひゃくいち)-まる福農園- (hyakuichi.net)