目次
島根県の“観光業”と“少子高齢化”と“I・Uターン”
島根県観光と言ったら何を思い浮かべますか??
出雲大社や松江城、足立美術館などを思い浮かべた方々が多いのではないでしょうか?
しかし島根県の魅力はここだけじゃないんです!
最先端技術を駆使して作られた、おいしい「いちご」が食べられる「いちご狩り」という新たな観光アクティビティが加わろうとしているんです…!!観光地に迷っている方がいらっしゃったら是非最後まで読んでいってくださいね^^♡また、島根県は全国の中でも特に少子高齢化社会が進行している県だと言われていますよね。このような背景から、多くの自治体ではIターンやUターン者を増加させ、若者を獲得しようという活動が活発になっています。
そこで今回は、横浜から島根県安来市にIターンし、「いちごの大森ファーム」という、いちご農家を立ち上げた大森さんにたっぷりお話を聞いてきました!!
** 『いちご』好きの皆様!! 豆知識も書いてあるので必見ですよ~^^ **
安来市にIターンをして「いちご農家」をはじめるまでの道のり
安来市に住もうと思ったきっかけ
初めまして!島根大学で大学院生をしてます中村と申します!
よろしくお願いします!
はじめまして〜! 大森と申します^^
よろしくお願いします〜!
それでは早速なのですが、
大森さんはなぜ島根県安来市に移住しようと思ったのですか?
一番は妻が鳥取県米子市出身だったということでしたね〜。
東京で出会いがあったのですが、
何度かこっちに来る機会があって、住もうと思うようになりました。
奥さんが米子市出身だったから…!!
結婚すると、奥さんが旦那さんの元へ嫁ぐという感じが多い気がしますが大森さんは逆だったのですね!?
そうですね〜。
だから私の場合、Iターンというか妻ターンですかね(笑)
この辺だと、私と同じように妻ターンしている人は多いですよ!
妻ターンは初めて聞きました〜(笑)
とても素敵です…^^
米子市に住もうとはならなかったですか?
中海の近くが良かったのでそういう話もありましたが、
いちご農家をする上でどの地域が良いかを考えて安来市にしましたね。
いちご農家になろうと思ったきっかけ
なるほど〜。
それでは、なぜいちご農家になろうと思ったのですか?
安来市でいちご農家になろうと思った理由は、
大きく分けて2つありましたね。
きっかけ① 技術者の経験を生かし、施設園芸をしたいと思ったから
私はもともとソフトウェアの開発などをする技術者だったので、機械等に関してオタク気質なところがあるんです(笑)
なので、農業において機械などを使う施設園芸をしたいと思って、「施設園芸をする植物」に絞りました。
へえ!! バリバリの理系出身者だったのですね!?
私も理系ですが、機械系は全くわからないので本当に凄いなと思います…!
他にはどのようなことがあったのですか?
–(デデンッ)–
*中村から問題
この機械たち、実は全て大森さんの手作り!!
これらは一体何をする機械でしょうか?
答えは記事後半に出てきます^^それでは続きをどうぞ〜
きっかけ② 農業体験をした時に味わったいちごの美味しさ
こっちに引っ越してくる前に2泊3日くらいで農業体験をしたのですが、この体験が大きかったですね〜。
そんなものがあるんですね!!
体験はどんな感じでしたか??
私は色々な自治体でいちごの他にもダイコンなどの農業体験もしたのですが、ダイコンは過酷過ぎて無理だなと感じましたね(汗)
寒い中水洗いしたりしますもんね…。
それでいちごにしようと思ったんですか?
あと各体験中に栽培したものを食べさせてもらったんですが、その時のいちごのインパクトが凄くて
いちご栽培をしようって決めましたね。
ダイコンは生だと辛いですしね(笑)
生で食べ比べた際にいちごが印象に残るのも納得です…。
ではなぜ安来市でいちご農家になろうと思ったのですか?
安来市でいちご農家になろうと思ったきっかけ
きっかけ① 様々な支援制度
まず1つ目として費用の面がありました。
実は、施設園芸は初期費用がとてもかかるんですよ。
ただ安来市には様々な制度があり、
経済的負担が大幅に軽減されると思ったのでここに決めましたね。
確かに移住するだけでも大変だと思うので、
そういった資金的な面で援助があるのは凄く助かりますよね!!!!
きっかけ② 立地の良さ
2つ目に立地の良さが決め手になりましたね。
スーパーなどは近くにありますし、
松江などの市街地もすぐ行けるので、
「程よく」田舎って感じで住みやすそうですよね!
そうなんですよ!
生活するにも出雲や松江が近くにありますし、
農業をするにも出荷先が近くに多く存在しているので、
住みやすく、事業もしやすい安来市にしました!!
*中村のボソッと一言
出荷先が近くにあるという事は、いちごをより新鮮な状態で店頭に並べることができているという事…♡
「いちごの大森ファーム」の『いちご』について
それでは次に、いちごの大森ファームで栽培している
「いちご」についてお聞きしたいのですが、
どのような品種のいちごを取り扱っているのですか??
うちでは『紅ほっぺ』『かおりの』『よつぼし』『サンチーゴ』の4種類を栽培しています!
かおりの…。
私、いちごで有名な栃木県出身なのですが初めて聞きました。
どんな味なのですか??
栃木だったんですね!
『かおりの』は関東でほとんど流通していない品種なんです〜。
酸味が少なく、モモのような感じと言ったら良いんですかね〜。
モ…モ…! 美味しそう!食べてみたいです〜〜〜!
(今思えばとても図々しい)
あとで是非食べてみてください^^
(や…やさしい)
ありがとうございます!楽しみにしています!!^^
それでは次に、生産過程ではどのようなことを大切にしていますか??
ちなみにこの時筆者は、
片手に大きな大きな「かおりの」を大切に持っていました。(⚠︎あれだけ楽しみにしていたのだから早く食べろよ。というツッコミはしない方向で)いちごの感想は記事後半で熱弁しております。
一つ目は【 「基本となること」を大切に 】
二つ目は【 「ほどほどに」ということにこだわる 】
です!
なるほど。なんだか2つ目のコンセプトは奥が深そうですね。
具体的にはどのような活動をしているのですか?
「いちご」へのこだわり① 化学農薬を出来る限り使用しない
化学農薬の使用頻度を減らせるように努力しています。
化学農薬は有能なアイテムかと思われるのですが、
薬をかけたとしても生き抜いて、
耐性を持ついやらしいヤツを出してしまう恐れもあるんですよ。
なんだかインフルエンザウイルスみたいですね…。
そうなんです。
もちろん虫などの生物だけでなく、カビや、それこそウイルスにも我々は対処しなければならないので、結構大変なんです。
それだけ多くのものに対応しなければならないとなると、
化学農薬の使用は避けられないんじゃないんですか?
今日、化学農薬に加えて『生物資材』という虫を使用した農薬もあるので、
私たちはそれらを積極的に利用しています!
生物資材!?
実際にどんなものを利用しているのですか!?
うちでは、アブラムシを食べる「テントウムシ」を使ったり、ダニを食べる「肉食のダニ」を使ったりしています!
おおお… それぞれ天敵を上手く利用しているわけですね。
アブラムシやダニからしてみたら、生物兵器ですね(笑)
でもそれらって生き物なだけあって高価なものなんじゃないですか…?
生物兵器(笑)
確かに高価ですが「農薬を減らしたい」という強い思いから
率先して使用しています!!
なるほど!
そうしたら化学農薬を全く使用しない方法も検討はしていますか?
やはり虫などが凄く繁殖してしまった時は化学農薬を使用せざるを得ないので、まだまだゼロにすることは難しいという現状があります。
しかし今後より使用回数を減らしていき、
最終的にはゼロにできるようにしたいとは思っています。
———————生物系出身の中村から豆知識!———————-
Q. 形がいびつないちごってどうなやってできてしまうの?
Q. 形の綺麗なものと味は変わるの?
答えは、
栄養があり過ぎたことによって細胞分裂が活発に起こり、
そして膨らんでいびつになる、という事が起きています。
細胞が元気過ぎたということですね^^
味に関しては、
綺麗なものと変わらないか、
先端の甘い部分の面積が多い為ジューシーに感じることもあります!
——————————————————————————-
「いちご」へのこだわり② 自身の経験を生かした栽培環境のデータ化
冒頭に技術者出身だとおっしゃっていましたが、
農家に転職してからデータを追う癖などはすぐ抜けましたか?
私は私生活でも抜けません(汗)
私も抜けませんよ(笑)
なので、自分で「温度」「地温」「湿度」「CO2濃度」を測る機械を作って、専用のアプリで各データをリアルタイムで見れるようにしました!
(前半の問題の答えはここ!!)
*中村のボソッと一言
黄色く見える入れ物、実は歯ブラシケースらしいです
大森さん、なんという発想力…。
えっっ!? この機械もアプリも全てご自分で作られたのですか !?!?
凄すぎます!! さすが技術者ですね !!
ありがとうございます(笑)
現在、近くのいちご農家12箇所にこの機械を置いてもらっていて、全ての農家の5分毎のデータをリアルタイムで確認できます!
(データを見せてもらって…)
この辺のガタついている部分は何か問題があったってことでしょうか?
他の農家の方々の平均的な動きに比べて逸脱していますよね。
そうですね。ここの農家はそろそろ何か問題が起こるかもしれませんね。
こんな風に栽培環境を可視化することで、
かなり確認作業が楽になりましたね。
なるほど〜!可視化されると異変にいち早く気付けますし、
凄く画期的だと思います!!!
*中村のボソッと一言
実は大森さんが作ったのは機械だけじゃないんです。
「いちごの大森ファーム」のWEBサイトの構築も大森さんご本人がやられたんですって…。
ご友人と協力して作られてたデザインもとても素敵なので、是非みなさん覗いてみてください^^
((多彩な能力を遺憾なく発揮されているなあ。))
「いちご」へのこだわり③手厚いフォロー体制から生まれた「直感」
ただ毎年天気は変わるので、
数値だけを見ていれば良いってもんじゃないんですよ。
やっぱりそうなんですね〜…。
見た目や味だけでいちごが元気ない、とかって分かるものなんですか??
農家になったばかりの頃は全然わかりませんでしたが、
3年目にもなってくるとわかりようになりましたよ!!
最初の頃などはどうしていたのですか??
安来市はフォローアップ体制がとても手厚いので、きちんと学ぶことができましたよ!安来市で農業を始める場合研修期間として、1年目に農家さんの手伝いをさせてもらいながら基礎を学び、2年目で自分で最初から最後まで作ります。
その期間に沢山失敗をしながら感覚を養うことができました。
2年間も!! でも一から始めるとなれば必要な時間ですよね。
それだけ手厚くフォローしてくれるのは凄いですね。
そうですね!!
なので現在は、
『データ』と『視覚』と『味覚』を使って美味しいいちごをつくっています!
「いちご」へのこだわり④ もぎたての状態の維持
それでは、このように大切に育てられたいちごを出荷する際、気をつけていることはありますか?
『もぎたての状態』をいかに保つ事ができるのか、
ということをとても意識して出荷作業を行なっています!
新鮮さを保つということですね!
確かにいちご狩りで食べる『もぎたてのいちご』は凄くおいしいですよね。
私たちには『島根のおいしい『いちご』を一番おいしい状態で多くの人に届ける』という理念があり、そのために出荷の細かいところまで気を使っていますね。
実際にはどのようなことをされているのですか?
基本的に出荷のギリギリまで、収穫することを我慢しています!
我慢するというのは…?
例えば、オンラインショップで注文があった際は、
郵便局が閉まるギリギリに収穫をして発送をすることで
午前中に収穫した場合と比較して
半日分新鮮な状態で届けられるようにしています!
そんな部分まで!! 驚きました!!
最後の最後までこだわりを持つことで、
最大限おいしい状態で食べる事ができていたのですね…!!
おかげで苦情などはほとんどなく、
皆さんに私たちのいちごを「美味しい!」と言ってもらえています^^
オンライン販売の際、いちごはこんな風な二重構造になった特殊なケースに入って大切にお手元まで配達されるそう^^
*中村のボソッと一言
(ふにふにしていて気持ちよかった…)(きっといちごもそう思っているに違いない…)
『安来市のいちご農家』のポテンシャルについて
では最後に、今後のビジョンを教えてください!!
今後は、
1つ目として、島根県内のいちごの生産量を上げるという事
2つ目として、島根県内の新たな観光地として発展させるという事
の2軸で頑張っていきたいなと思っています!
卸売業と観光業の2つの面をするという事ですね!
卸売業としては、県内のいちごのほとんどが九州産なので、頑張って生産量を増やしたいです!観光業としては、今はコロナウイルスの影響で難しいですが、本来であれば島根県には多くの観光客が訪れるのでその人たちをどうにかしてここに来させたいですね^^
確か島根県には年間約1000万人以上訪れるんでしたよね…
その方々をうまくキャッチする事ができたら…
と考えると物凄い可能性を秘めている県なのですね!?
そうなんです!
境港にクルーズ船に乗ってくる外国人観光客もいるので、
可能性ははかり知れませんね。
そうですよね…!
具体的に何か外国人観光客獲得の為に行っていることはあるんですか?
いちご狩りの際の説明文の英語版を作製したり、
ホームページも英語と中国語の翻訳版も作製したりしました!
あとは、私が英会話に通い始めました…(笑)
一つ一つ丁寧に翻訳されているので、言葉がうまく通じない外国人観光客にもマナーを守って楽しんでもらえますね!!
着実に準備は進んでいるということですね〜!
英会話頑張ってください!応援しています!!
私は英語が本当に苦手なので…(汗)
私もなかなか上達しませんが頑張ります〜(笑)
まだ翻訳版ホームページはオープンしていませんが、
コロナウイルスが落ち着いた時のために
今から色々と準備をして今後に備えようと思います!!
私としても、このおいしい「いちご」を是非多くの人に食べてもらいたいので観光客や県内の方々で賑わうことを心から願っています!本日は長い間どうもありがとうございました!!
— 中村のしっかり目の一言 —
筆者が大切に持っていた「かおりの」はこれ。
足が2つ生えたかのようないちごで、
愛嬌があってとても可愛かったのです…。(可愛いの定義とは)
味としては、
確かにモモのような優しい甘さがありました!
水分量が多かったのでサクッというよりは、
シュルッという感じで、みずみずしい食感がありました❤️
最先端いちご農家が育てた『かおりの』の購入方法
ここまで読んでいただけると、だんだんといちごの大森ファームのいちごを食べてみたくなってきませんでしたか?(ちなみに筆者、取材の後しっかりと「かおりの」を買って帰り、ん〜❤️って言いながら食べていました。)いちごの大森ファームのいちごは、島根県安来市周辺のスーパーや市場等をはじめ、公式オンラインショップからも購入する事ができます!気になった方は下のURLから是非お店を覗いてみてくださいね^^
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取材先
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いちごの大森ファーム
電話:070-2637-6505
住所:〒 692-0017 島根県安来市下坂田町屋敷331-1
営業:9:00~18:00
備考:駐車場有(最寄駅:JR安来駅、荒島駅)
情報:https://farmomori.com
公式オンラインショップ
https://netberry.jp/product/omori_kaorino/
安来市観光協会サイト
https://yasugi-kankou.com