あなたの地元には、皆に知られている地域特有のスーパーマーケットってありますか?
島根県には、松江市と大田市、雲南市に展開されている“ご当地密着スーパーマーケット”「株式会社みしまや」があります。
広島出身の筆者は、大学で島根県に来るまで知りませんでしたが、今ではすっかりお馴染みのスーパーです!
今回は、そんなみしまやの地域との関わりや、普段知ることができないスーパーのウラ側、オリジナル商品について取材をしてきました。
みしまや春日店店長の尾原和光さん、商品部、酒・雑貨バイヤーの周藤愛さんにお話を伺いました(*^^)v
目次
1.みしまやの歴史
みしまやさんはいつごろからどんな商売を始められたんですか?
最初は、砂糖の量り売りやパンを販売する小売店だったんです。
それが始まったのが1914年です。
現社長(三島隆史)の曾祖父がスーパーマーケット業界に進出したいと考え、1号店を1949年に開店しました。
今年で107年目になります。
107年ですか!
長い歴史も地域の方に愛されている証ですね(*´ω`*)
2.地元企業ファースト、みしまやの取り組み
みしまやならではの地域での取り組みを教えてください。
店舗内でいうとJAと協力した、地産地消コーナーがあります。
このコーナーは、地元の方に人気があるので農家の方には非常にお世話になっています。
また、地元の商品をタイアップすることで、できるだけ地元の企業の商品を仕入れて販売しています。地元のいい商品があれば取り入れて、お互いがいい方向に進むように一緒に頑張っていきたいです。
大手スーパーだと、中央が決めるのでなかなか地域に密着している部分には気を配れませんが、地元に本社があるので小回りが利き、地元の商品を仕入れやすいんです。
私も地元に帰るときに、みしまやさんでちょっとしたお土産を買って帰ることがあります!
お土産屋に寄らなくても近くのスーパーで買えるのはとっても便利です(^^)
社長の方針が「地域の商品を一番売る店」なんです。
例えば、木次牛乳という美味しい牛乳があるんですが、同じ地域にある他のスーパーより売れるように配置も工夫されています。
どのように工夫されているんですか?
ポップを作って目立たせたり、売り場の配置を目に留まりやすい位置にしたり、チラシで宣伝したりしています。
他の大手メーカーの商品を辞めてでも、地元のものを置いていたりします。
大手メーカーの商品は、全国でも売れています。
だからこそ、高齢化などで廃業が近づいている地元の企業もありますが、お互いに力を合わせて販売していきたいです。
地元企業ファーストですね(^^)♪
そうしていかないと生き残れないんです。
正直、業務スーパーや全国展開のスーパーに価格はついていけないところがあります。
そんな中で、お客さんに喜んでもらえるのはどのような点かを考えると、やはり地域に根付いたスーパーになりますね。
お客さんだけではなく、地元企業にも目を向けるのはさすが、地域密着スーパーです!
3.みしまやオリジナル商品
みしまやイチオシのオリジナル商品はなんですか?
今年の4月に、「特別純米サカナニコレ」と「純米吟醸ニクニコレ」という商品を発売しました。
米田酒造と協力し、魚に合う酒、お肉に合う酒を出しました。
どうしてこのような商品を開発しようと思ったのですか?
スーパーは酒屋と違い、魚や肉といった食材をメインに買いに来られるので、専門的なお酒を買いに来る人は少ないです。
また、若い方が「お酒はよくわからない、小難しい」という声をよく聞きます。
そのような方にも、とりあえず「これは魚に合う」とか「お肉に合う」とおすすめできるようなお酒があれば、手を伸ばしやすいのではと考えました。
たしかに主菜に合わせて選べるお酒はシンプルでわかりやすい!(^^)!
でも「魚に合う」とか、「肉に合う」というのは、つまりどういうことなのでしょうか?よく聞く言葉ですが、実際に自分では説明できなかったりします。。。
🐟
魚はお肉に比べると、脂身が少なく割と淡泊なさらっとした口当たりのものが多いです。
すっきりしていてさらっと飲めるお酒になっており、魚と合わせることで酒の持つ酸味がより一層引き立ってそれぞれの旨味をグッと高め合います。
🍖
反対に、お肉は味が濃く、旨味がしっかりあります。
それに合わせても負けないような、強い味わいを持ったお酒です。
香り豊かでコクが感じられます。
このお酒はみしまやでしか手に入らないんですか?
そうです。醸造している米田酒造でも買えません。
そうなんですね!
今度実家に帰るときお土産に買って帰りたいです(^^)
他にこだわりはありますか?
名前を聞いたときに「なにこれ?」と思ってもらえるようなネーミングにもこだわりました。
聞いたときに、「この商品はなんだ。」「どういうお酒なんだろう?」という興味を持っていただき、商品を強く印象付けることを狙いました。
確かに目を引く商品名です!
他におすすめのオリジナル商品はありますか?
「赤てんぱん」という商品があります。
赤てんを挟んでマヨネーズ入れたパンです。
2年ほど前から発売されていて、当時のパン担当バイヤーが、みしまやにしかない島根の名産を使ったパンを作りたいと考えて出来上がった商品です。
この日はチラシ掲載日でした。
軽食にもってこいですね!
他にも、出雲味噌を使ったおかずみそ「めしどろぼう」や、益田市産アムスメロン使用のもっちり・ぷるんとした寒天菓子「ぷるり島根メロン」など、みしまや限定商品があります!
4.スーパーのウラ側
スーパーの陳列はどのように決められているんですか?
ゴンドラ(商品の陳列棚)に関しては、商品部が秋冬に決めるというやり方がきちっと決まっていますが、入口などの生鮮周りは毎日変わっていきます。
え、なんででしょう。考えたこともなかったです(;゚Д゚)
季節感を出しやすいからなんです!
例えば、冬だったら白菜が入口付近に出て鍋をイメージさせたり、暑い日だったらスイカで旬の食材をアピールします。
あと食事と直結するので、夏はそうめんだなと思ったらネギの横に置いたり、今晩のメニューを想像しやすくする工夫もしています。
季節感を出すのは、売り上げにも影響するので非常に重要です。
そうだったんですね!
確かにスーパーに入ってスイカが置いてあったら夏を感じますね🍉
↓入口付近に並ぶ夏野菜や、そうめんやお盆関連の季節の商品
日用品ではなにか工夫されていますか?
やはり、季節の商品の配置に気を付けています。
例えば、衣替えの季節に防虫剤を目立つところに置いたりしています。
エンド(陳列棚の端)は目立たせたい商品を置くので、季節に応じて変えています。
どこのスーパーでも、1か月に1回くらいは変わっているはずです。
それがきっかけで皆さんもその商品をついつい手に取ってたりするかもしれませんね(^O^)
何気なく手に取っていた商品が、実はお店側の戦略かもしれなかったということですね(゚д゚)!
仕入れのタイミングやサイクルはどのように決められているのですか?
みしまやは、定休日の1月1日以外の毎日何らかの商品が入ってきます。
月・水・金にはカップラーメンやカレー、飲料などの食品
火・木・土は違うカテゴリーの日用品
日曜は牛乳関係などです。
期限が短い生鮮食品はほぼ毎日入れています。
ちょっと入れて、全部売って、またちょっと入れて、全部売ってという工程の繰り返しです。
では、仕入れる商品の個数はどのように決められますか?
担当のバイヤーがチラシの商品や過去のデータなどを考慮して決めます。
過去の店舗のデータがタブレットで見られるようになっているので、売り上げ上位に来ている商品を多めに仕入れます。
去年の同じ時期に何を売っているのかをデータで見つつ、今年の状況にも合わせないといけません。
例えば、去年のこの時期はそうめんが良く売れているけど、まだそんなに暑くない場合は、代わりに焼きそばを多く仕入れようという風に臨機応変に対応します。
今の自分の店や倉庫にある在庫を見て、明日売れる数を計算して、これくらい必要だなっていうのを考えています。
データがまとめられているファイルが棚びっしりと詰まっていました。
データ管理の元にして経験も頼りにして綿密な計画で仕入れをされているんですね!
5.コロナ禍の影響
コロナ禍での影響はどのようなことがありましたか?
コロナ禍の影響を一番受けたのは周藤さんですよ。
浮き沈みの周藤と言われていましたからね(笑)
影響は大きくありましたね!私もあの時期は困りました。
雑貨と酒の担当をしているのですが、雑貨の方はコロナでマスクやアルコールといった以前なら1日1個、2個売れたらいいほうだった商品が、入れたら入れた瞬間どこにもなくなるほど売れました。
あとお酒のほうは外で飲めないのでお家飲みをされる方が増えて売り上げが上がりました。また、他の部門では、去年の緊急事態宣言で学校が休校になった影響で、外で給食を食べられている方が家で食べるのでレトルトカレーなどのレンジで調理できるものや、パスタなどの麺類が店頭からなくなりました。
そういう商品は仕入れも難しくなるんですか?
そうですね。仕入れ先にお願いしても、もうないですと言われ仕入れができない時がありました。
逆に、やっと仕入れられたと思ったら、既に他の店にも並んでいるので、売れずに在庫になってしまい苦労しました。
これまで取材させていただいた企業の多くがコロナ禍でお客さんが減ってしまったとのお話がありましたが、今回は違った観点での影響を知ることができ、勉強になりました。
6.今後のビジョン
今後のビジョンを教えてください。
これから島根県も人口が減っていく中で、必要とされるスーパーって限られていくと思います。
その中で、お客さんからはもちろん、商品を提供してくださるメーカーさんからもみしまやがあるからやっていけるというように、必要とされるような会社にならないといけないですね。
...どうですか、店長。
いや、もう100点満点の回答です!
それに加え、従業員の接客や鮮度をきちんと守ったり、きれいな環境でお客さんに買い物をしていただくとか、店で一番気をつけなければいけないですけどね。
値段のことを言い出したらキリがないので、地域に密着したみしまやならではの取り組みで、ファンになってもらうように商品や店づくりを展開していきたいです。
7.地域の皆様にメッセージ
最後に、地域の皆様にメッセージをお願いします!
先ほどもお伝えしましたが、商品面でも接客面でもサービス面でこれからも精進してまいりますので、末永くよろしくお願いします。
店はやっぱりその地域に必要とされないといけません。
みしまやはどうしても年配の層が多く、自力で買い物に来るのも荷物を持つのも大変ですよね。
高齢化も進んでいる時代だからこそ、私たちになにかできることはないでしょうか。
実際、なかなかご年配のお客さんと関わりきれてない節もあります。
地域の方にもこういうことをしてほしいなど、ご意見やご要望をお聞かせいただければ、可能な限りご協力したいと思っています。
地域に密着したスーパー、みしまやはお客さんにはもちろん地元の企業からも愛されているんだと多くの点で感じることができました。
まずその大きな個性として大手スーパーではできないような商品開発や、地元企業との取り組みが進められています。
また、常に売り場の新鮮味をお客様に感じてもらうための商品陳列の秘密を知ってしまった筆者は、買い物中意識してエンドや、入口付近の商品に目が行くようになりました...(笑)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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取材先
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株式会社みしまや
所在地:〒690―0056
島根県松江市雑賀町99
連絡先:Tel 0852-24-7100
Fax 0852―21―6611