ちくわだけじゃないちくわ屋さん!?<br>金田屋かねちくの挑戦
ごはん

2022/03/24 Thu

ちくわだけじゃないちくわ屋さん!?
金田屋かねちくの挑戦

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鳥取県の中央にある日本海に面した赤碕という町。

潮の香りを感じながらゆったりと歩いていると突如…

 

ド派手な看板だらけで、インパクト大のこんなお店が目に飛び込んできました!
今回取材に伺ったのは、こちらの魚肉加工商品などを扱う「金田屋かねちく」です。

こちらは明治に創業され現在は4代目代表者の金田浩和さんにお話を伺いました。
なななんと、お店の中に入るやいなや「実際食べてみんことには...」と、金田さんが揚げたての“お魚コロッケ”をご用意してくださいました(´▽`)

揚げ物なのに全然しつこくない!材料がお魚だからなのでしょうか。中にはシャキシャキの玉ねぎが入っていて、魚のすり身との相性が抜群!美味しすぎてお箸止まりません!取材が終わるころには10個近く食べたと思います(食べすぎました...(笑))。
でも、それくらい美味しかったんです(´ω`*)
今回はそんなやみつき商品を提供されている「金田屋かねちく」の秘密を存分にお届けします。

目次

1.お魚コロッケの歴史

取材時にごちそうになったお魚コロッケは、明治から食べられている赤碕のソウルフードなのだそうです。
コロッケと聞くと、じゃがいもや牛肉のコロッケを思い浮かべませんか?
ではなぜ赤碕のコロッケは魚のすり身を使ったコロッケなのでしょうか。
金田さんのお話によると、コロッケが日本で食べられ始めた明治、赤碕の漁師の方が埼玉でコロッケを食べ、地元で再現しようと考えたことが赤崎のコロッケのはじまりでした。しかし漁港の町赤碕には、牛肉やじゃがいもはありません。そこで、魚のすり身にパン粉をつけて揚げたというのがお魚コロッケの発祥でした。
地元の方々は、パン粉をつけて揚げたものを相称して「コロッケ」と呼ぶそうです。
オニオンフライもコロッケ、とんかつは豚肉コロッケなんですかね??
地域文化の違いを知るのは面白い!(^^)!

2.金田さんの挑戦

金田さんは、「こだわりがなく魅力があるところで輝きたい」とおっしゃっていました。
「かねちく」のちくわやお魚コロッケなどには、すべて地元で獲れたトビウオが使用されています。
地元では、トビウオは「アゴ」と呼ばれていますが、あえて商品名に「トビウオ」とつけています。「アゴちくわ」ではなく、「トビウオの」とつけて販売しているのは「かねちく」だけなんだそうです。ネーミングも他と差別化をし、お客様にとってわかりやすく伝わるような工夫されていました。
何百年「アゴちくわ」と販売してきた商品マーケティングの歴史を金田さんが変えたのです!

また、金田さんは、トビウオを主食のご飯に例えて、商品開発をしておられます。
「おかずは何にしようか」
「チャーハンのようにご飯自体に味をつけるのか」
「キムチや明太子といったトッピングは何にしようか」
といった考え方で加工法の発想を広げているそうです。そうしてトビウオを様々な形に加工して「あくまでも自分が食べたいものを作る」ということをモットーにしているそうです。
地域からこれを使って商品にしてもらえないかという話をもらっても、自分が食べたくないと思ったものは躊躇なく断るとおっしゃっていました。

例えばこちらの商品を見てみてください。お魚コロッケの商品名に「カレーうどん」。

カレー味というのはよくありますが、カレーうどんをモチーフにした商品って見たことがなかったので敢えてやってみたところ、魚肉がプリプリな食感である一方、うどんを入れることで全体にモチモチ感が加わり、変わった食感で美味しかったそうなんです。結構根強いファンがいて、こればかりリピートで購入されるお客さんもいるそうです。
アレンジレシピものちほどご紹介するのでお楽しみに!

続いてこちらの衝撃的な商品。鳥取県物産優秀賞を受賞した「マンモスの肉」です。

お客さんによってもいろんな食べ方をする人がいて、端から食べる人や、真ん中から食べる人、なかには分解して長芋は長芋、ちくわはちくわで食べる人もいるそうです。
鳥取でよく売れていた長芋をアレンジしてネーミングや見た目を工夫し、形が整ってない手作り感やグロテスクな感じに仕上がっているところを都会の人は好むのが面白いところと金田さんはおっしゃっていました。

しかし、全部が新しいものとして成功したわけではなく、やってみたけど売れなかった商品も少なくあったそうです。それでもたとえ一つの商品で失敗してもへこたれず新しい商品作りに挑戦されていることが成功の秘訣なんだろうなと感じました。

3.金田さんイチオシ商品&人気No.1商品

金田さんのイチオシはやはり、創業から何百年も続く看板商品の「とびうおちくわ」だそうです。

とびうおちくわをベースとして、焼いたり、蒸したり、揚げたりし、そこに味つけすることで商品開発が行われているそうです。
とびうおちくわの原料となっている生の魚肉もHPで販売されています。こちらは、成形していない状態なので、好きな形で調理することができます。例えば、ウインナーに巻いて揚げたり、ハンバーグにしたりとアレンジは無限大です!
コロナ禍で家での料理もマンネリになりがちですが、生の魚肉を使えばアイデア次第でお子様とも楽しみながら料理できますね!

20種類以上ある中で、昔ながらのとびうおちくわが根強い人気です。
新しい商品を作ったときに最初は売れますが、長い目で見るとやはり初期の商品が長く売れ続けているとのこと。創業当時の商品をそのまま守りつつ、新商品は自分で研究し、材料や味付けを変えているそうです。「ひいおじいさんの代からの商品を邪魔するのではなく、新たな挑戦を繰り返しながら、伝統も守り続ける」とおっしゃっていました。

4.アレンジレシピ

かねちくのHPには、お魚コロッケのアレンジレシピが紹介されています。
(詳しくはこちら→ http://kanechiku.com/osakana.html )
お魚コロッケを味噌汁や、おでんに入れると衣がトロッとして美味しいのだそうです。
コロッケをおでんに入れるのはあんまり見られないので、金田さん自身が売り場で作ってお客さんに振る舞ってあげると、大変驚かれるそうです。

お魚コロッケは、レンジで温めてマヨネーズをつけて食べるのがオーソドックスだそうです。
レンチンで良いなら簡単でもう一品という時にいいですよね!
すぐにできるので私もやってみました!

続いて、こちらは発売から1か月も経っていない(2021年6月25日取材時)、「とびきりトビウオ」という商品です。
従来のお魚コロッケのトビウオの比率を多くし、トビウオ濃度を濃くしたものになります。
切って味噌汁に入れたり、ご飯に入れて炊いたりするとアゴ出汁が出て美味しいそうです!

私は味噌汁に入れてみたところ、出汁がしっかり出てきて美味でした!

金田さんおすすめは、エビチリ風アレンジ!フライパンに油をしいて、ちくわやコロッケを切ったものにケチャップとタバスコを加えて炒めるとエビチリみたいになり、夏場におすすめだそうです!
エビとちくわは食感が似ているので、私にも美味しくできました!
かねちくのちくわは、弾力と厚みがあるので食べ応えもあっていいおかずになります♪
和食だけではなく、中華にも合うなんてマルチフル!

私は、先ほどご紹介した「飛魚インドカレーうどん」という商品を目玉焼きとレタスと一緒にマフィンに挟んでみました~!
これ、とってもおすすめです(^^)/
モチモチのお魚コロッケと、しっかりとしたカレーの味がマフィンととにかく合うんです!
簡単にできるので忙しい朝にも良いですよ。

食べ方を何通りも楽しめる様にこうしたアレンジが沢山紹介されており、そのおかげでリピーターも多いとのことです。
色々な楽しみ方がある分、飽きもこないですよね!
地元の方は昔ながらのアゴちくわとコロッケを好まれ、県外の方やインターネットでの購入される方は変わった商品を好まれる傾向があるそうです。やはり地元の方は商品をよくしっているので飽きが来ない美味しさを求められるのだと思います。

5.今後のビジョン

次の商品開発時期について尋ねてみると、「ビビっときた時」だとおっしゃっていました。
1ヶ月には1、2個作る時もあれば、半年~1年アイデアが出ない時もあるそうです。ただ自分が食べたいものをビビッときた時に商品化を試みてみるのだそうです。
今後は、ちくわやコロッケを提供する居酒屋を始めてみたいそうです。ビール片手に最高のつまみになりそうですよね(´ω`)
できたてを提供することのできる居酒屋ならではのメニューや楽しみ方にも期待が高まります!
また、ちくわとは関係ありませんが溶かしたチョコレートをバナナにかけて冷凍させて、アイス感覚のスイーツとして販売したいと考えているそうです。自分がお客さんだったらこういうのがあったらいいな、この値段だったら買うなとか、考えるベースがお客さんの立場じゃないといけないとのことです。

本当に幅広く商品開発を考えていらっしゃるんですね( ゚Д゚)!

6.コロナ禍での取り組み

県外からはなかなかお客さんが来られない状況ですが、その分ネットやふるさと納税での売り上げは増えたそうです。これからのネット社会を見越して、新しいことに挑戦するチャンスだとポジティブに考えていらっしゃいました。
多くの企業が新型コロナウイルスの感染拡大で苦しい時期ではありますが、「なにもしないよりも歴史が変わることを仕掛けていきたい」とおっしゃっていました。

7.最後に金田さんからメッセージ

「おいしく たのしく おもしろく」
これが1番大事だと金田さんはおっしゃっていました。
ただ変わったものを作っても、それが美味しくないとお客さんには喜んでもらえません。
ちくわ屋だけど、ちくわに関わらず面白いことをやってお客さんに満足してもらい、お金儲けもできるというのが商売人としても幸せだそうです。
何事も楽しむということが1番ですよね!

8.おわりに

金田さんは赤碕で様々な事業をやられていますが、実は島根県が大好きなんだそうです!本当だったら、たくさん魅力のある島根県でも今よりももっと多くのいろいろな試みをやりたいとおっしゃっていました。これを聞いて島根在住の筆者もとてもうれしい気持ちになりました(^^)
金田さんは自分の好きなことや、やりたいことをとことん突き詰めているオーラが全身から出ていて、輝いて見えました。私も残りの大学生活島根で好きなことやるぞ~(^O^)

金田屋かねちくの商品は
インターネット、一畑百貨店(島根県)、鳥取県内の道の駅で購入することができます!

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取材先

取材先画像

金田屋かねちく

住所:鳥取県東伯郡琴浦町赤碕1230(赤碕本店)

鳥取県倉吉市東仲町2593(倉吉赤耳店)

Tel:0858-55-0251

Fax:0858-55-0253

HP:http://kanechiku.com/

事業内容:コロッケ、竹輪、蒲鉾、その他練り物の製造販売

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