創業133年の伝統!<br>大自然が生んだ極上の日本酒の魅力に迫る!
お酒

2022/02/10 Thu

創業133年の伝統!
大自然が生んだ極上の日本酒の魅力に迫る!

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(日本海酒造株式会社前にて)

皆さん、島根が日本酒発祥の地と言われていることはご存じでしょうか?(諸説あります。)今回私は、そんな伝統的な酒造の地である島根県浜田市の日本海酒造株式会社にお邪魔いたしました!石見三隅インターチェンジから車で約五分の日本海付近の細い路地沿いにひっそりと事務所・醸造所を構えておられます。
「島根の日本酒?知らないなぁ~。でも日本酒発祥の地で造られている日本酒には興味ある!」という方には今回の取材で是非オススメしたい商品をたくさん見つけてしまいました!!
今回の取材では、日本酒造りを始めたきっかけや商品へのこだわり、コロナウイルスによる影響などについて社長の藤田様にお伺いしました。また、醸造所見学では本来休みのはずの杜氏(※)の小原様が案内してくださいました。(※)杜氏(とうじ)…酒づくりの職人の長。
また、その職人。(大辞泉より引用)
本記事を読んでくださった方が日本海酒造さんの日本酒に少しでも興味を持ってくださると幸いです。

酒造りのきっかけと日本海酒造株式会社の歴史

取材当日、私は緊張と不安でいっぱいでした。「藤田社長はどんな方なんだろう。」「職人肌で寡黙な方だったらどうしよう。」「質問が上手くできなかったらどうしよう。」そんなことを思いながら事務所の扉を開きました。

すると…
藤田社長は「どうも~!こんにちは!」と明るく笑顔で迎え入れてくれました。

私は心からホッとしました。
中へ通してくださった後は「昨日、県立大学の先生から連絡があってね…」など様々なお話を、冗談を交えながらしてくださいました。取材がしやすい雰囲気を作ってくださり本当にありがたかったです。
そのような環境の中で藤田社長への取材を始めました。

―まず、お酒造りのきっかけや先祖代々受け継がれてきた御社の歴史についてお伺いさせていただきたいです。

よし!お酒を造ろうと思って始めたわけではなく、生まれ落ちたところがお酒を造っていたんだよね。酒造りに関しては、あとで杜氏も一緒に蔵で話しましょう。
先祖代々というところで言うと、私が五代目です。もともと藤田の家は何の商売をしていたのか、文献がないため分からないんですが、この間、「もともと廻船問屋を営んでいたり、米を作っていた」と地域のご高齢の方から伺いました。色々な事業をやっていたようですが、過去の資料を見ても酒造りのルーツは分からない。ただ、屋号は変えながらも 133 年間ちゃんと続けてられていることは間違いないです。
日本酒製造のピークは 1973 年頃で、実は私が生まれた年なんです(笑)。このことから見てもやはり最近、飲酒人口が減っているのは明らかだと思います

―事前に調べさせていただいたのですが、日本酒は海外への輸出量は増加傾向にあって、国内需要が減っているという現状があると思います。

そうですね。海外輸出はここ 10 年間伸び続けているし、コロナで伸び率は小さくなったものの近年も伸びています。弊社も同じです。弊社は約 20 年前にアメリカに輸出したのが初めてでした。現在は私自身が、海外に渡航して販路拡大をしています。現在はアジアを中心に 11 か国へ輸出しています。全国的に見ても輸出量が多い日本酒醸造企業が県内にあることは誇れることだと思い、弊社としては積極的に海外輸出を行っています。我々のような輸出酒造企業が県内に増え、そして更に日本酒業界を盛り上げていくためにも、他社と情報共有しながら事業を進めていくことが大切だと考えています。ここ 3~4 年は順調に輸出が伸びていますが、去年はコロナで世界が止まったため厳しい状況となりました。

―今は本当に大変な時期ですよね。初めての海外輸出時における印象深いエピソードがあればお伺いさせていただきたいです。

実は 3 年前に初めて東京の商社の方とアメリカへ行き、現場見学をさせていただきました。その際、実際に目の前で外国の方同士が日本酒を酌み交わしているのを見て衝撃を受け、感動しました。やはり現場を見なければ現実はわからないのだなと身震いしました。その後は積極的に中国、シンガポール、タイ、マレーシア、香港などに視察・商談のため、直接訪問をさせていただきました。

商品カタログより

商品へのこだわりや想い

―今や日本だけでなく各国で愛飲されている商品ばかりだと思います。商品へのこだわりについて教えてください。

ここから車で 30 分弱の弥栄町で五百万石の酒米を作っていただいていて、それを主軸にしてお酒を造っています。うちの酒は味がありながらも香りは抑えめのタイプで酸がわりとしっかりあります。それがうちの酒の基本です。
酸度やアミノ酸度の高さによって旨みやキレ、辛さの違いが出ます。その中で味の濃淡のバリエーションを出しています。大吟醸系は香りがウリになっていますが、東北の日本酒と比べるとややおとなしいですね。

―香りを出すためにも酸が使われるのですか?

「香りを出すためには酵母。つまり発酵させる時の微生物です。それを使い分けることで香りを出していくのですが、他の蔵と同じ酵母を使ったからと言って全部が全部同じ味になるわけではないです。そこで各蔵の個性が生まれます。
香りを求めているお客さまは特に若い方に多いです。香りがあると甘く感じ、飲みやすくなる。香りを意識して作ったのは「渦」というシリーズです。若者のトレンドに対応するため開発しました。ただ、飲み手によって感じ方は違います。そういったところが嗜好品の面白さであり難しさだと思います。

―実際、取材前に御社の純米吟醸 のど黒、純米酒、特別純米生貯蔵酒を飲んでみました。これらはどんな商品ですか?また、純米酒と特別純米の違いについて教えてください。

のど黒は純米吟醸としては割と酒らしい酒なんです。純米吟醸は、本来は非常に香りが華やかで、すっきりとした甘さすら感じる飲み口です。しかし、のど黒はそうじゃない。はっきり言って香りは低いし、アルコール度数は 14 度で多少軽い。フルーティでもない。私たちは、ノドグロのような脂のしっかり乗った魚と一緒に飲んでいただきたいと思っているので、少しアルコール度数を軽めにしてあります。脂を流し込んで箸を進められるようなお酒に仕上げてあります。魚を楽しむためのお酒なので香りは低く、非常にスッキリとしたお酒に仕上がっています。
純米酒と特別純米生貯蔵酒の違いは米の削りと火入れの回数です。純米酒は 65%精白、特別純米は 60%精白です。そして、火入れ(加熱殺菌処理と品質保持することが目的)は純米酒が2度、特別純米生貯蔵酒は1度です。純米の方が、味わいがあります。どちらも香りに差はあまりなかったと思いますが、飲みやすかったのはどちらですか?

―特別純米です。

そうですよね。私たちもそうなるように作っています。ただ、お酒に味がしっかり感じられるように作ってはいますが、お酒だけで飲むのではなく「何かを食べながら」というのがお酒の醍醐味だと考えます。大吟醸はお酒としての性格が違うのでそうとは限りませんが、私たちのこだわりはあくまで食中酒として美味しいものをつくることです。それによって皆様の会話が弾み楽しんでくれると「人と人とをつなぐこと」にも繋がる。私たちは酔うための酒ではなく『コミュニケーションを弾ませるためのお酒を造る』んだという気持ちで取り組んでいます。
そのため、日本酒は主役ではなく、わき役であり、できたら『名脇役』であれたら一番いいなと思います。

新型コロナウイルスによる影響

―素敵な考え方ですね。コロナによって飲食店での売り上げが下がっている中で始められた新たな取組はありますか?

ECサイトのオープン、つまりネット販売です。手間がかかるイメージが大きかったんですが、他社と情報共有してみると、売り上げが伸びていると聞き、今年に入って会社のウェブサイトのリニューアルと同時に EC サイトも立ち上げました。日本各地のお客様が弊社のお酒を買ってくれるため、非常に嬉しいですし面白いです。
(EC サイトの URL は記事の最後に記載しています!ぜひそちらからご確認ください!)
そして、営業回数が減ったことも変化だと思います。コロナ拡大前は1か月に1回程度東京に行っていました。しかしここ1年間全く行けていないため、商売に影響が出てしまうのではと不安になる事がありました。しかしそれでも、オンラインでの商談や問屋さん向けの日本酒のプレゼンをしたりと、やり方を変えればなんとかなるんだと実感しました。ただもう1年以上もこの状態が続いていますので、やはり同業の方と顔を合わせて、そのあと一杯飲んだりしたいですよ。直接対面でのコミュニケ―ションが減ってしまったのは非常にさみしいです。

達成感を感じたエピソード

―達成感を感じたエピソードはありますか?

事前に取材時の質問内容をお知らせ頂いていたので、この質問になんて答えようかすぐに思いつかなくて迷っていました。つまり、まだ達成感を感じているわけではなく、これこれからもっともっとやれるんだということなんだと思います。

―「海外売り上げを着々と伸ばしている」ことは達成感としてはいかがでしょうか?

そうそう。まぁ細かいところで言うとたくさんありますよ。あの場所で初めて売れたなぁとか、思い出します。ただ社長業としての達成感はまだだなっていうのが本音です。だからまだまだこれからですよ。

―貴重なお話ありがとうございました。是非醸造所見学をさせていただきたいのですがよろしいでしょうか?

こちらこそありがとうございました。では早速行きましょうか。

―(醸造現場では杜氏の小原様が案内してくださいました。現在醸造していないため実際に醸造工程・作業を見ることはできませんでしたが、様々な作業場や機械を拝見しました。酒米を洗う機械、蒸米に麹菌を生やし米麹を造る麹室(こうじむろ)や、私の身長の二倍ほど のタンクなど…。多様な工程を経て日本酒が造られていることを実感することができました。)

(発酵済みの日本酒を貯めるタンク)
(日本酒と酒粕に分別するための機械)

取材を終えて

「人と人との心をつなぐ酒」これは日本海酒造さんのコンセプトです。そして私が本日、最も印象的だった言葉は「コミュニケーションを弾ませるためのわき役としての日本酒を造りたい」というものです。日本海酒造さんはコンセプトに則り伝統を守り続けながらも、常に新たな取組みに挑戦し続ける姿勢を持っておられます。このような姿勢があるからこそ、目指している姿の美味しい日本酒が造れるのだと感じました。そして、新型コロナウイルス拡大によって日本酒業界は大打撃を受けていることを改めて痛感しました。そんな中、新たな取組として EC サイトを立ち上げ、公式 WEB サイトもリニューアルしておられます。ぜひ一度ご賞味ください。

(日本海酒造公式ウェブサイトはこちら・・・ 日本海酒造株式会社 (kan-nihonkai.com)
(日本海酒造公式オンラインストアはこちら・・・ 日本海酒造オンラインストア (kan-nihonkai.shop)

(日本海酒造株式会社前にて左から社長の藤田様、私、杜氏の小原様)

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取材先

取材先画像

日本海酒造株式会社

〒699-3224
島根県浜田市三隅町湊浦80
TEL. 0855-32-1221
FAX. 0855-32-0979
MAIL. info@kan-nihonkai.com 

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