茶処・松江で日本茶の魅力を伝える千茶荘お茶へのこだわりと今若者に伝えたいこと
お土産

2022/02/22 Tue

茶処・松江で日本茶の魅力を伝える千茶荘お茶へのこだわりと今若者に伝えたいこと

Twitter Facebook

目次

1.はじめに

 皆さんは島根県松江市が茶処として有名なことを知っていますか?
 江戸時代後期、大名茶人であった松江藩松平家 7 代藩主・松平治郷 (不昧公) がその一流の才能から茶道「不昧流」を大成させました。それをきっかけに、松江市に茶の湯文化が浸透したと言われています。 不昧公は、茶会に用いた和菓子は、「不昧公好み」と呼ばれて、今でも松江を代表するお菓子として親しまれているくらいなんです!
 そんなお茶で有名な島根県松江市で、お茶の魅力を伝え続ける「株式会社千茶荘」さんにお話を伺ってきました!



今回お話を伺った
株式会社千茶荘

代表取締役社長 原田瑞樹さん

手に持っていらっしゃるのは千茶荘さんの
看板商品「ゴールド白折」と「玉露白折」

2.株式会社千茶荘さんについて

 株式会社千茶荘さんの創業は昭和14年にさかのぼります。松江市の京店通りに茶問屋千茶荘(今の本店)が開業されました。今では、京店通りの本店だけでなく一畑百貨店やイオン松江店にも出店しています。また、日本茶cafeスカラベ136や日本茶cafeスカラベ別邸などのカフェも営業し、若い方にもお茶の魅力を伝えています。

日本茶カフェスカラベ136
カフェで食べられるパフェ
日本茶カフェスカラベ別邸

 また通信販売も行っており、日本全国で定期購入をされている方が7万人もいらっしゃいます。島根だけでなく日本全国に商品の良さを知っている方がいらっしゃることは本当
にお茶の業界としては珍しいことなんだそうです。
 平成29年には海外に進出し、ベトナムのホーチミンで日本茶カフェを営業されています。ベトナムは親日国ではありますが、やはり海外ということで、市場に質の高い日本茶が出回ることが少ないそうです。そんな状況の中、日本茶の本当の味を現地に伝えていらっしゃいます!
 そして令和元年には創業80年を迎えました!
 千茶荘さんの歴史をさかのぼってみると、多くの店舗を営業したり海外進出をしたりと、様々なことに挑戦していらっしゃることが分かりますね!

3.千茶荘さんのお茶の秘密



白折(しらおれ)誕生秘話
 皆さんは「白折」というお茶の種類を聞いたことが
あるでしょうか?その名前を聞いたことがない方でも、
煎茶に抹茶がコーティングされたお茶と聞いてピンと
くる人もいらっしゃると思います!最近だとペットボトル
のお茶でも抹茶が混ざっているものが流行りましたよね。

千茶荘さんの元祖「白折」

その「煎茶に抹茶をコーティングする」ということを日本全国で初めて行ったのがなんと千茶荘さんなんです!その発想が生まれたのは何がきっかけなのでしょうか?

「白折」の中身です!
お茶っ葉に抹茶がまぶしてある
のが分かります!



白折が生まれたきっかけは昭和25年にさかのぼります。当時は自動車がとても高級であったことから自転車で
行商(商品を顧客がいるところへ運び販売をすること)をおこなっていました。煎茶や抹茶を茶箱に入れ自転車を走らせていたところ、まだ舗装されていない道
を走ったため茶箱の中で煎茶と抹茶が混ざってしまっていたそうです。最初は失敗したと感じていましたが、そのお茶を試しに淹れてみると、色は今までみたこともないくらい鮮やかな緑色で、味は抹茶の味が口に広がり非常に美味しかったのでした。(煎茶と抹茶の違いは記事
の最後に記載)

重ねて完成した白折は、甘みがありまろやかな味をもつすばらしい商品でした。また、茶葉の茎の部分を使用するとお茶の色が出にくく価格が下がってしまうのですが、その欠点を抹茶で補う事で普通の煎茶よりも安価で提供できるものだったのです。買われた方は、その珍しさ、おいしさから
知り合いに渡し、渡された方がまた知り合いに渡し、人伝いにその人気が広がっていきました。                    
また、パッケージに書かれている電話番号を見て「ぜひ購入したい」とおっしゃる方も増えていき、今でも日本全国に飲まれている方がいらっしゃいます。

淹れてみるとこんなに鮮やかな色に!

②千茶荘さんならではのお茶
 お茶を飲むときに気になるのは、淹れる人によって味が変わってしまうことではないでしょうか。淹れる人によって味が変わるのは、お湯の温度や淹れる時間によって味が変わってしまうくらいお茶が繊細なものであるという事が関係しています。

しかし、千茶荘さんのお茶誰が淹れてもおいしいお茶を出すことが出来るんです!その理由は千茶荘さんならではの特殊な製法!お茶っ葉に火入れを行う際に普通より
強く火入れを行うことによってその特徴を生み出しています!お茶は熱湯で淹れると苦みが強く出てしまうので湯冷まししてから淹れなくてはいけないのですが、千茶荘さんのお茶は熱湯でも苦みが出にくく美味しく淹れることが出来ます。

 この特徴は、お茶を美味しく淹れたいけど淹れられないという方だけでなく、来客に美味しいお茶を出したいと考える方、会社で来客を素早くもてなしたいと考える社会人の方にもおすすめです!
 私も取材後に自分で淹れてみましたが湧いたばかりの熱湯で淹れても全く苦くなく、むしろ甘みのあるお茶が淹れられました!私のようにお茶を淹れるのに慣れていなかったり、時間がなくお茶を淹れる時間が作れないという若い方にもおすすめですね!

4.今の若者に伝えたい事

カフェを営業し、お茶の魅力を伝え続ける千茶荘さん。そんな千茶荘さんの「想い」、それは「今の若者にお茶を飲んでもらいたい」という事でした。


昔の家庭では、午前10時と午後3時のおやつ時に家族みんなで机を囲み、家族団らんの時間を過ごすことが多かったそうです。「お茶を飲む」という行為は、ただ飲むというだけでなく、淹れるまでの時間に大切な人と話すことができるというコミュニケーションの場だったんですね。お茶を飲むという事は人と人とが直接顔を合わせてお話をするということに繋がる大事な時間だったんです。

私自身、そのお話を聞いたとき、実家でもそんな時間があったなあと思いだしました。いつも午後3時になるとおばあちゃんが家族全員を招集して急須にお茶を淹れて楽しくおしゃべりしながらゆっくりと時間を過ごす…その時間だけは勉強も掃除も仕事も忘れて過ごす時間でした。しかし最近は「忙しいから」と言ってゆっくりと人と関わるという事がなかったように思います。




しかし今では、SNSが普及したこともあって、すっかりそのような時間を過ごすことが減り、人と人との関係が希薄な時代になってきました。お茶を飲むときもスマホ片手に飲んでいることが多いですよね💦

そんな時代だからこそ、お茶を飲むことをきっかけにもう一度自分の時間を見直し、家族や友人とゆっくりと過ごす時間をとってほしいという想いがあるそうです。
そのために、千茶荘さんはカフェを営業したり若者が集まるイオンに出店することで、
まずは若者に足を止め、日本茶を知ってもらうという事をしていらっしゃいます。ぜひ、みなさんも一度カフェやイオンで日本茶を堪能してみてください!

5.工場見学へ!





今回は特別に工場見学もさせていただけました!
こちらが工場の全体図になります。本社の中に工場があるんです。それぞれの機械について紹介していただきました。

①茶葉のふるい分け・切断
総合仕上機という機械を使用して形や大きさが様々な茶葉の形や大きさを整えます。異物除去機や金属除去機が設備されているため、この機械のおかげで安心してお茶を飲むことが出来ると言っても過言ではありません!

②茶葉の乾燥
仕上茶乾燥機という機械で茶葉を乾燥させることで独特のお茶の味や香りを引き出し、お茶のうまみを強くします。この工程がお茶の味を大きく左右します。



③茶葉の配合や均一化
合組機という機械でを行う事で製品の最終調整を行います。千茶荘さんのお茶の旨さの秘訣だそうです。このあと包装して完成です。

千茶荘さんはこのような工程でお茶を作っていらっしゃるんですね!それぞれの工程に千茶荘さんの「おいしいお茶を届けたい」という熱い想いが伝わってきます。





ここで、さらに千茶荘さんのこだわりを紹介します!
それが、この最初の写真に隠れています。普通のお茶屋さんの工場にあって千茶荘さんの工場にはないものとは何でしょうか?





正解は茶箱です!茶箱というのは右の写真のような茶葉を入れる木の箱の事です!なぜ千茶荘さんの工場の中には茶箱がないのかというと、茶葉に異物を混入させないためだそうです。木の箱だと、茶葉を別の容器に移したり包装作業をする際に箱が傷ついてしまい木が削れるのでその木片が茶葉に混入してしまう可能性があります。その可能性をなくすため、千茶荘さんは新たに木製ではない茶箱を導入されました。それが写真の赤丸内にある水色の箱です!



拡大してみるとこんな感じ!青いプラスチックの箱の中にあるアルミの入れ物が密閉状態を作り出し、異物の混入を防ぎます。また、木箱のように傷つきやすくないため扱いやすく、また、木箱よりも多い量が入るため作業の効率が良くなったそうです!
日々のお茶の製造過程を変化させ、より良いお茶を製造し続けていらっしゃるんですね!



そして今回の工場見学で一番私が驚いたのが、工場見学で進んだ先に「茶室」があるという事です!工場見学には外国の方も多くいらっしゃるようで、そんな方に日本茶の魅力をより伝えられるように実際に茶室を使用していただけるよう準備していらっしゃるんだそうです!
千茶荘さんのお茶への向きあい方の真摯さが伝わってきますね!

6.おわりに

 今回は、千茶荘さんで日本茶に込める想いや、今の社会に向けた想いを伺いました。私にとってお茶を飲むという行為は、おいしいお茶をおいしいお菓子といただくという行為でしかありませんでした。しかし、今回お話を伺って、「飲食をする」という行為が、大切な人との時間を大事にするということに繋がるんだと感じました。
 この記事を読んでくださった方にも、千茶荘さんの想いが届いてくださると幸いです。

【煎茶と抹茶の違いについて】
抹茶:鮮やかな緑色が特徴的な粉末状のお茶で、てん茶を石うすで挽いたもの。
煎茶:日本でもっとも一般的に飲まれている緑茶で、細く丸くよれていて、針のような形状が特徴。
(参考: 特集1 緑茶(1):農林水産省 (maff.go.jp)

【参考サイト】
銘茶・銘菓老舗めぐりの旅 in松江 / 第7代松江藩主-松平不昧公をたずねて (farend.ne.jp)
千茶荘(日本茶カフェ スカラベ136) 島根県松江市 (senchasoh.jp)

この記事をいいね!する

取材先

取材先画像

株式会社千茶荘

千茶荘 本社・工場 
〒690-8611 島根県松江市矢田町250-98(内陸工場団地内)
TEL 0852-24-0700 FAX 0852-22-4116

通販物流センター 
〒690-8611 島根県松江市矢田町250−49
TEL 0852-60-0208 FAX 0852-25-7127

千茶荘 京店本店
〒690-0843島根県松江市末次本町74番地(京店商店街)
TEL 0852-24-0703 FAX 0852-21-1577

千茶荘 イオン松江店
〒690-0003島根県松江市東朝日町151
TEL 0852-28-2110 FAX 0852-28-2110

千茶荘 一畑百貨店
〒690-0003島根県松江市朝日町661
TEL 0852-55-2539

日本茶カフェ スカラベ136
〒690-0826島根県松江市学園南1-3-6
TEL 0852-22-2003

日本茶カフェ スカラベ別邸
〒690-0843島根県松江市末次本町75
TEL 090-5707-4821

【HP】
千茶荘(日本茶カフェ スカラベ136) 島根県松江市 (senchasoh.jp)
【公式オンラインショップ】
千茶荘オンラインショップ お茶処松江から煎茶、玉露、抹茶入り煎茶、白折をご自宅へ (senchasoh-shop.jp)
【工場見学について】
千茶荘新本社工場見学について – 千茶荘(日本茶カフェ スカラベ136) 島根県松江市 (senchasoh.jp)
【インスタグラム】
日本茶カフェ スカラベ(@scarab136)

宅見涼花 の書いた記事一覧